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KJ WORKS 設計士 山口のブログページです。

KJ WORKSの設計術や家づくりについて私の想いを、日々綴っています。
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2009年3月アーカイブ

暗号の歴史

 


『暗号解読-ロゼッタストーンから量子暗号まで』 サイモン・シン著 青木薫訳  新潮社

いきなり問題です。

アリスとボブはラブレターのやりとり(郵送)をしようとしています。しかし、送ろうとする手紙は全て第三者であるイブに傍受されて中身を盗み見されてしまうため、二人はラブレターのやりとりに箱を使い、南京錠をかけてから郵送することにしました。しかし、二人は遠く離れた場所にいるため、同じひとつの南京錠を、一緒に買うことができません。しかたなく二人は別々に、それぞれ南京錠を買いました。アリスが南京錠をかけた箱をボブが開けるためには、アリスがもっている鍵を使わなくてはならないのですが、それをボブに手渡すことができません。また、鍵を郵送した場合、それもイブに傍受されて鍵のコピーを作られてしまいます。そうなれば南京錠の意味がありません。さて、このような状況においても二人は安全にラブレターをやりとりすることができるのですが、それはどのような方法でしょうか?

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本書はその名の通り、「暗号」の作成と解読の歴史を追ったドキュメントです。「暗号」という秘密の技術には以前から興味があって、ワクワクしながら読み始めたのですが、でてくる暗号の難解さにかなり苦戦を強いられました。しかしその内容の面白さに惹かれて、何とかかんとか読み終えました。疲れた...。

「暗号とは、メッセージの外見を変えることにより、正当な受信者にしか読めないようにする方法のことである。」
と本書では定義されており、その歴史は紀元前5世紀のペルシャ対ギリシャの戦争のころに遡るそうです。それ以来今日まで、様々な種類の暗号がつくられ、また解読されてきました。それぞれの時代に「解読不可能」と言われた暗号、そしてそれに挑んだ人々の苦闘がつづられており、その技術の凄さもさることながら、人間たちのドラマとして、とても面白い作品だと思います。

もちろん暗号とは往々にしてその技術自体が機密事項となりうるものですから、この本に語られている内容も以前には全く知られていなかったものも多いようです。今あるコンピュータの原型も、実は暗号の解読機械だったのだそうです(!)。戦争の時代、冷戦の時代を終えて、ようやく明るみに出たそのような機密事項を著者は入念に取材し、そしてこの本をまとめあげたようで、その苦労たるや大変なものだったのではないかと推測されます。約500ページの結構な大著ですが、その内容に全く隙はないという感じです。

本来の暗号のほかにも、解読ということで、いわゆる古文書の解読についても一章が割り当てられています。ロゼッタストーンに刻まれたヒエログリフ(エジプトの絵文字)の解読、そして一切の手がかりがないところからの「線文字B」の解読。その解読者の試行錯誤、そして閃きと執念も、私をドキドキさせてくれました。

実は冒頭の問題は、暗号作成と復号(正当な受信者が暗号を元の文に戻すこと)に必要な「鍵」の問題についてのたとえ話なんです。暗号作成者と受信者はその「鍵」を共有することによってメッセージを正しくやりとりでき、そして暗号を解読しようとする第三者は、この「鍵」が何であるかを解き明かさないといけない。これが長い暗号の歴史においての共通事項でした。しかし、実は鍵を共有しなくても暗号は使えるということが1970年代に発見されたのでした。「鍵配送問題の解決」というこの快挙、実際はもっと複雑な内容なのですが、たとえ話のこの問題でも、結構難しいですよね。私はこの部分を読んだとき、とてもスカッとして、「なるほど!」と思わずひざを打ったのですが、さて、皆さんいかがでしょうか?

この本、私としてはお薦めですが、暗号に興味がある方、あまりいないかなあ...。でも、こんな問題にそそられる方は、ご一読ください!


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森に咲く花

 


なんかこのブログ、最近は花のことばかり書いているような気がしますが...。でも春になると、ただ道を歩いているだけで、あちこちに花が咲いているのが目に付くんです。やはり花というのは心を和ませてくれますので、「またか」と言わず、おつきあいください。

今朝の出勤時に、弊社社屋の隣接駐車場にて昨年秋に植樹をした「森」で、スズランのように咲く可愛らしい花を発見しました。この場所はその植樹地の中でも一番南側で、すぐ隣に建物があるので、このように朝のうちしか日が差さない場所なんですね。なのでその部分の木々の成長がちょっと気になっていたところでもあり、この開花がことのほか嬉しく、ちゃんと育ってくれているんだなあと、ほっとした次第です。

しかし、残念ながらパッと花の名が出てきませんでしたので、会社に入って早速調べてみました。こんな時の私の味方がこの本です。

『葉で見分ける樹木 - フィールド・ガイド22』 林将之著 小学館

ちょっと夾竹桃(キョウチクトウ)みたいな葉っぱだったぞ、と思いながらページを繰ると、あったあった、この樹は(花は)「アセビ(馬酔木)」ですね。こんな記載がありました。

ツツジ科アセビ属の低木。根元近くから枝分かれし、ふつう樹高1~2m、時に5mにもなる。
茎や葉に毒があり、馬が食べると酔ったようにふらつくのでこの漢字名があり、読みは「足しびれ」にも由来するともいわれている。

なるほどなるほど。可愛い花をして、なかなか手ごわいヤツですね。

ちなみにこの「森」には、宮脇式植樹法にもとづいて、低木から高木まで55種類、610本の樹木が密植されているんです。その植樹のときの樹種一覧表も引っ張り出してチェックしてみましたら、アセビは低木に分類されていて、数は3本でした。比率にして2%です。やはり高木の類が全体の80%を占めるように設定されているので、この樹は少数派ですね。あと2本、チェックしておかないと!

この森、今はまだどの樹も同じような高さですが、日が経つにつれ、ドンドンと成長する樹、その陰になってうまく育たない樹などが出てきて、徐々に場所に応じた樹種が残り、自然な状態の森へと変化していくことになります。それこそが宮脇式の森づくりなんですね。森の一番端っこにあるこのアセビはどのように成長していくのか、可愛らしい花を見ていると、それも気になるところです。

おもてなしの心

 


昨日は、設計部のスタッフである和田さんの結婚式、披露宴に出席してきました。夫婦になる二人の、暖かい心づくしにとても感動して帰ってきましたので、少しそのことを書きます。

まず、「人前結婚式」というやり方の結婚式を私は初めて体験したんです。神主さんも神父さんもいなくて、親族や友人、ゆかりの方々の前で二人が宣誓し、皆がその結婚を証明するというもので、いわゆる儀式的な雰囲気があまりしない、とても親しみのもてる式でした。自分も参加した!という感じがしましたね。

そのあとは場所を移して披露宴があったのですが、ここでも二人が参加者のために色々と考え、工夫をしたんだな、ということが伝わってくるものでした。例えば披露宴でよく見るケーキカットも、最初はデコレーションのない白いケーキが二つ登場し、そこに参加者から選ばれたメンバーが2チームに分かれてデコレーションの出来を競うという面白い趣向だったんです。

それだけでも充分楽しかったのですが、そのあと二人が負けたほうのチームのケーキを使うというので、???と思っていましたら、勝ったチームのケーキは参加者のうちの3月生まれの方々に、バースディケーキとしてプレゼントするというオマケがついていました。3月生まれの参加者が、皆でケーキに立てられたロウソクを吹き消し、新郎新婦を含めた皆から拍手が起こる。とても和やかな、なんともいい光景でした。

写真は、披露宴会場のお手洗いにあった、二人からのメッセージカードです。手を洗って何気なく見ると、仕事上で見慣れた和田さんの手書き文字で何か書いてあります。読むと、新郎新婦の連名で「THANK YOU 今日はお越しいただきありがとうございます。ご自由にお取りください」とあります。こんな小さなことにまで、二人が心を込めてメッセージを送ってくれている。そのことに私はグッときたのであります。

人前の式といい、披露宴の趣向といい、細かいことまで書けませんが色々と工夫した会場のしつらえといい、とにかく親族、友人、日頃お世話になっている人たちと一緒にこの晴れの日を祝いたい、来てくださる皆さんにこの日を一緒に楽しんでいただきたい、そんな二人のおもてなしの心がすみずみまで行き届いていて、こちらに伝わってきます。とてもいい時間を過ごさせていただいて、逆に二人に感謝感謝です。

なお、近頃は後輩達の結婚の場に立ち会うたびに、かれらとその親御さんとのふれあいの場面や、そんな場でしか言えない感謝をつづった手紙の朗読などに、ついつい涙腺がゆるくなってしまいます。自分でも情けなく思いますが、すでにもう、完全に親御さんのほうに感情移入してしまうみたいです。他人の結婚式ですらこんなざまだと、わが子の時にはどうなるのか?いや、その点については全くもって自分に自信がもてない今の私であります。


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杏、咲きました。

 


アップが遅くなってしまいましたが、一昨日の日曜日、「樹木を残す」の項でご紹介した「木想家」の現場で、地鎮祭が執り行われました。

前日までの雨が嘘のような良いお天気に恵まれて、お施主さんと私どもで、解体の済んだ土地のお清めをおこない、これからの工事の安全を祈念してまいりました。

「樹木を残す」でご紹介した桜の木も、もうすぐ花開きそうな雰囲気。今年は暖かいから、4月を待たずに咲くんだろうなあ、と思って眺めていました。建物に一部当たってくるために若干枝を払う予定ですので、全ての枝に花が開くのは今年が最後になりそうです。せめて基礎の工事が終わって、建て方のために足場を掛けるまでは存分に咲いてくれよ、なんて思ってしまいます。

そしてもう一本残した杏(あんず)。こちらのほうが蕾がまだ固い感じなので、まだまだかな、と思いつつよくよく見ると、梢に近いほうではもういくつか花が開いていました!へええ、これが杏の花かあ。お母さんが私に教えてくれた通り、ちいさな可愛らしい花です。ごくごく薄い桃色の花びらと、濃い紅色をした「がく」とのコントラストがとても美しいですね(写真ではよくわかりませんが)。これが満開になったら、桜とはまた違った雰囲気でいいだろうなあと思います。是非近いうちにもう一度来ないと!

ただ今回、建物を解体して地面を掘ってみると、この木の根っこが一部新しい建物の基礎の部分にまで延びていることが判明しました。やむを得ないのでその部分は切ることになります。他の部分の根っこで、この木がそれに持ちこたえてくれるか、大丈夫だとは思いますが、少し心配ではあります...。

そんなことを思いながらちらほらと咲き始めた花を見ると、よりその美しさが目に染みます。うまく残って新しい建物とまた一緒に歴史を刻んでくれることを、願うばかりです。


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「世界初」の提供

 


『謎の会社、世界を変える。 エニグモの挑戦』 須田将啓・田中禎人共著 ミシマ社

皆さんは、「バイマ(BuyMa)」というWEBサービスをご存知ですか?
http://www.buyma.com/

HPのタイトルには、「バイヤーから買う、世界最大のバイイング・マーケット」と銘打たれています。この本を私が読むきっかけになったのが、このHPなんです。

「BuyMaとは?」のページにはこう説明されています。引用します。
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世界が身近になる!新しいカタチのショッピングサイト

BuyMa(バイマ)は日本国内をはじめ、世界各国で発見した素敵な商品を紹介・販売したいという人(バイヤー)と日本にいながら世界中の商品を購入したいという人をマッチングする世界に広がる新しいカタチのショッピングサービスです。

「現地価格でお買い物したい」、「最新商品をいち早く手に入れたい」、 「日本では買えない商品を購入したい」といった方にオススメです。 海外発送商品の場合はショッピングされる方が輸入者、バイヤーさんは輸出者というイメージになります。 BuyMaはサービスのプラットフォームの提供と決済の仲介をしており、実際の購入、販売のやりとりは購入される方とバイヤーさんが直接行うことになります。
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詳しく書くと長くなりそうなので、興味がおありの方は一度チェックしてみてください。

このサイトを見たとき、なにかとても面白そうなものを感じたんですね。業者による輸入、個人輸入とも違うこのやり方に。といっても、自分も何か買いたい!というのではなく、ネットのうまい使い方として大変な可能性があるように漠然と思ったわけです。で、運営会社を調べてみると、「株式会社エニグモ」。変な名前だなあ、と思って妙に頭に残っていたんです。

で、何かの書評でこの本を見つけて、自分が感じた「何となく面白そう」の理由が分かるのではないかという思いから、速攻ゲット!中身もとても面白く、一気に読了してしまいました。

著者二人は、エニグモの共同経営者です。大手広告代理店に勤めていた彼らが「世界初のWEBサービス」を思いつき、その実現のために起業、そして現在までに至るエニグモの軌跡が描かれています。流麗な文章とは言いがたいですが、自身の筆であることによる臨場感と迫力があり、引き込まれてしまいました。

ネタバレはよろしくないのであまり書きませんが、私が何となく感じた面白さについてわかりやすい文章がありましたので、その部分のみ引用します。

「たとえばバイマを使うことで、暇な学生が花見の時期に、『忙しいサラリーマンのために花見の場所をとります。写真のようにきれいに桜が見える場所です』というビジネスをはじめることだってできる。」

そう、この面白さとは、単に海外のものが買えるというような単純なものではなくて、『あなたが今ここにリアルタイムで居ること』の価値を、世界中の人たちと交換できるということなんですね。そのプラットフォームの提供という世界初のビジネスを思いついた彼らの興奮が伝わってきて、何だかこちらも熱くなってしまいました。現実的には上記のような使い方はあまりされていないように見受けられますが、しかしバイマがビジネスとして大きな成功を収めたことは、賞賛に値すると思います。

本書にもありますが、彼らはその後も、「世界初」にこだわって色々なサービスを発想し、実現させています。以下にURLのみ記載しておきますので、見てみてください。そこにネットの新しい可能性というものを感じたら、そのルーツをこの本で、味わってみてください。

プレスブログ http://www.pressblog.jp/

filmo http://filmo.tv/

シェアモ http://www.shmo.jp/


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樹木を残す

 


以前、「寒中ヒアリング」の項でお話した堺市内の「木想家」が、いよいよ契約、着工の運びとなりました。昨日は朝から請負契約の締結と、そして既存建物解体についての打合せをさせていただきました。

写真はその家のお庭に今ある木です。幹に緑色のテープが巻いてあるのが見えますでしょうか?

庭に桜や松などたくさんの木を植えていらして、今回の計画でもそれらに建物がかからないよう、なるべく樹木が残るように、建物配置と間取りを考えてきました。その結果、ここに写っている桜(手前)と柿(奥)も残すことができそうです。緑のテープは、解体業者さんのための「残す木」の目印なんですね。また、道路際にある杏(あんず)の木も残すことができそうで、同じく緑のテープを貼ってきました!

今ここにお住まいの、施主ご夫妻のお母さんがこんなことをおっしゃっていました。
「桜は毛虫がかなわんねんけど、花は綺麗やしなあ...。」
「この柿は渋柿なんやけど、うまいこと干したら甘くておいしくなるねんで」
「杏は隣にあった楠を切ったらどんどん大きくなってなあ。春には可愛らしい花が咲くんよ」

桜は手前の枝をいくらか落とさないといけないかもしれませんが、どちらも残って、今度の計画ではお母さんの居室から良く見える位置になるんです。また杏の木も、今と同じく道からの眺めを楽しんでいただけそうです。

ずっとここに暮らしておられた中で、きっと木と関係した思い出もおもちなのだと思います。可能ならばそれらも一緒に、新しい家でも引続き感じられたらいいですよね。そんな想いで考えてきた新しい家と、昔からある木々とがうまく調和すること、心から願わずにはいられません。

解体が終わって新しい家の基礎が着工する頃、桜と杏が満開のはず。それを見るのが今から楽しみです!


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