いつもお読みいただきありがとうございます。
今週は平日に代休をいただき、大阪市立美術館で開催されている「没後150年 歌川国芳展」を観に行ってきました。
国芳といえばとにかく、浮世絵という枠にとらわれない、自由で斬新、あるいは奇想天外とも言えるアイデアの作品群で知られ、浮世絵好きの人にも、そしてデザイン関係の方々にも愛されている絵師であります。
皆さんも、美術の教科書でこんな作品をご覧になったことがありませんか?『みかけはこわいがとんだいい人だ』という絵。
人が集まって人を形づくっています。どうやったらこういう発想が浮かぶのでしょうか、ねえ?
今回の展示は、国芳の没後150年を記念し、その代表的な作品、未紹介の作品、新発見の作品などなどを通じて、その画業の全貌を明らかにする、といった感じの大規模なものでした。
上のような変わった絵ばかりでなく、いわゆる武者絵、美人画などの正統派の絵もあり、動物たちを描いた愛らしいものもあり、とにかく多種多様な作品群に圧倒されっぱなしでしたね。
驚かされたのがこの絵。
何というか、浮世絵じゃないみたいでしょう?その構図、表現、遠近法が、明らかに西洋絵画のようです。西洋の油絵に浮世絵の人が間違って入り込んだような錯覚を覚えます。国芳が、従来の日本の絵の慣習にとらわれず、西洋の絵画も研究し、自らの作品に取り入れていることがよくわかりますね。
また、そのような国芳の画想の素晴らしさや進取の精神もよく感じられたのですが、私としては今回もうひとつ、「浮世絵をつくる技術」というものに、大変感動した次第です。
上の絵も含めて、浮世絵とは基本的に「版画」です。絵師の絵にもとづき、木版多色刷りによってその絵を再現することで、民衆のものとしての大量生産を可能にしているわけです。
民衆に広くいきわたるものといっても、その版画をつくりあげている彫師、摺師といった職人たちの技は、半端なものではありません。その緻密さ、精巧さ、センス。素晴らしい名人芸に、もう驚きの連続でした。
1ミリの中に六本の髪の毛を彫るというその彫師の神業、現代にはそれができる人は存在しないといいます。まさに超絶技巧。でもそれは、名もない一職人の仕事なんです。実際にご覧になると、本当に感動しますよ。
私も設計という仕事をしていて、大工さんを始めとした職人さんがたに家をつくってもらっています。ですから、国芳というアイデアとセンスを合わせ持つ絵師と、その新しさをしっかりと受け止めて版画にしていく職人たちとの素晴らしいコラボレーションに、とても感じ入ったわけなのでした。
この国芳展、会期の後半は、展示内容ががらっと変わるといいます。予想以上の素晴らしさに、これは後半も是非行くべし、と今から楽しみにしている私であります。






