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『「縁側」の思想』 ジェフリー・ムーサス著 祥伝社
著者はニューヨーク生まれの建築家。槇文彦、谷口吉生の事務所で勉強した後、京都の中村外二工務店にて修行。そして京都の町家を自ら修復して住んだ経験から、その後も京都に拠点を構え、町家修復を中心とした建築設計に携わっている方です。
本書は、その著者の町家修復体験、日本体験からの「気づき」を綴ったものだと言えますね。
私は時々このような外国人による日本文化論、といった感じの書籍を読みます。それは、「外からの目」によって、我々が見過ごしている日本建築の素晴らしさが浮き彫りにされていることがままあるからです。
やはり海外の方は、自国の文化、自国の建築物という「比較の対象」をもつが故に、その違いが際立って見え、そこに着目することが出来るのでしょうね。日本建築ばかり見ている日本人には気づかないような「ツボ」を押さえた話が読めるのはとても楽しいし、目からウロコが落ちるようなこともあります。
本書にも、そのような記述が多くあります。例えばこんな調子。
「このように、西洋と日本の建築技術は異なる形で発展していきました。そしてそれは自然に対する接し方にも影響したといえるでしょう。アメリカとヨーロッパでは、壁が外と内の境界を作ったため、住民と自然とを分離してしまい、未知なる自然への恐れや畏怖心を持つことにつながったのです。ハリケーンなどはコントロールできない脅威とし捉えられています。ところが、日本人は家に居ながらも自然に接してきたため、長い歳月の中、台風などの自然の猛威を経験しながらそれを受け入れ、豊かな気持ちで暮らす知恵を育んできたようです。生け花から食べ物に至るまで、四季おりおりを楽しむ日本人の生活習慣が、それを証明しているといえるでしょう。」
しかし、このように外国の方のほうが日本文化の素晴らしさに気づきやすい、というのは、裏をかえせば日本人は自国の文化を蔑ろにしやすい、という面もあります。悲しい事ですが。重要な作品が多く海外に流出してしまっている「浮世絵」などは、その一例ですね。
何も自国の文化を誇って偉そうにする必要はないのですが、その素晴らしさをより鮮明に意識する意味で、このような「異邦人」による文章は、とても意味があると思うのです。





